
この連載「オリジナルタオルの作り方」では、今治のタオル製造会社 新居田物産が、社内タオルソムリエ監修の下でオリジナルタオル製作の全工程をステップ・バイ・ステップで徹底解説しています。専門知識ゼロからでも、この連載を順番に読んでいくことで、誰でも自信を持って理想のオリジナルタオルを作れるようになることを目指しています。
第2回は、オリジナルタオル製作の大きな分かれ道である「製法(ジャガード vs プリント)」について解説しました。
▼前回の記事はこちら
今回は、いよいよタオル作りで一番ワクワクする「デザイン」について…といきたいところですが、その前に少しだけ整理しておくべきことがあります。
どんなに素晴らしいデザイン画を描いても、「選んだタオルのサイズ」や「製法のルール」に合っていなければ、実際にタオルとして形にすることはできません。
今回は、デザインデータを作り始める前に知っておきたい「サイズの選び方」、製法ごとの「デザイン表現のルール」について解説します。 ここを押さえておけば、後のデータ作成が驚くほどスムーズになりますよ!

この記事を書いた人
新居田物産株式会社 専務取締役
今治のタオル製造会社、新居田物産の新居田です。弊社のコーポレートブログではタオルづくりのお役立ち情報(タオルソムリエ監修)を発信しています。新居田物産に頼んで良かったと言っていただけるように、真摯にタオルづくりに取り組んでいます。
もくじ
【おさらい】デザイン作成の前に。まずは「土台」を固めましょう
「さあ、デザインを考えよう!」と意気込む前に、少しだけ立ち止まって、これまでのステップを振り返ってみましょう。 理想のデザインは「目的」「製法」という土台の上になりたっています。この2点が整理されているだけで、デザインの方向性がグッと明確になりますよ。
ポイント1:目的(誰のために、何のために作りたいか)
第1回でもお話ししたように、「何のためのタオルか?」という目的がデザインの核となります。
例えば、「販促・ノベルティ」なら社名やロゴがはっきり見えること(宣伝効果)が最優先です。一方で「物販用」なら、ファンが「欲しい!」と思うような魅力的なイラストや写真(デザイン性)が命です。 まずは「誰に」「何を伝える」デザインなのかを再確認しましょう。
ポイント2:製法(どんなタオルを作りたいか)
第2回で学んだ「製法」は、デザイン表現に直結します。
- ジャガード織り:糸でデザインを織りなすため、高級感が出ますが、細かい柄やグラデーション、写真の表現は苦手です。
- プリント(特にインクジェット):生地に印刷するため、写真やフルカラーのイラスト、グラデーションも鮮やかに再現できます。
選んだ製法で「できるデザイン」の範囲を理解しておくことが重要です。
タオルの「サイズ」:デザインを載せるキャンバスの大きさ

第1回、第2回の記事のおさらいができたら、ここからが第3回の本題です。まずはデザインを描く「キャンバスの大きさ」=タオルのサイズを決めましょう。
用途によって最適なタオルサイズは異なります。持ち運びやすい「ミニタオル」 と、ライブで掲げる「マフラータオル」では、デザインの見せ方や最適な文字の大きさが全く異なります。 「入れたい情報量」と「タオルのサイズ」のバランスを考えることが大切です。
タオルのサイズ一覧
新居田物産で取り扱っている代表的なサイズと、おすすめの利用シーンをご紹介します。
| 種類 | サイズ(目安) | おすすめの用途・特徴 |
|---|---|---|
| ミニタオル | 約19×19cm~25×25cm | ポケットに入るサイズ。低コストで配布しやすいため、イベントのノベルティや販促品に最適です。 |
| ウォッシュタオル | 約30×30cm~33×33cm | ミニタオルより大きめのタオルで、ご家庭で手を拭いたりして使うのに便利なサイズです。 |
| フェイスタオル | 約33×80cm | 洗顔やキッチン用など、最も使われる定番サイズ。迷ったらこのサイズを選べば間違いありません。 |
| マフラータオル | 約20×110cm | 首にかけやすい細長いサイズ。ライブやフェス、スポーツ観戦の応援グッズとして圧倒的な人気を誇ります。 |
| スポーツタオル | 約40×110cm | フェイスタオルより大きく、バスタオルより小さいサイズ。部活動の卒団記念やスポーツチームのグッズに選ばれています。近年はバスタオル代わりとしても人気です。 |
| バスタオル | 約60×120cm | お風呂上がりに体を拭く大きなサイズ。印刷面が広いため、インパクトのあるデザインや多くの情報を入れることができます。 |
製法別デザインの「得意・不得意」
タオルのサイズが決まったら、次はいよいよデザイン作成です。
第2回で選んだ「製法」ごとに、表現できるデザインにはそれぞれのルールがあります。 更に同じプリントや同じジャガードカテゴリーでも、その中で細かい製法に分かれます。「せっかく考えたデザインが、この製法では作れなかった…」という失敗を防ぐために、それぞれの特徴をおさえておきましょう。
プリント①(インクジェット)

インクジェットプリントは、ご家庭のプリンターと同じように、シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック(CMYK)の4色のインクを直接タオル生地に吹き付けて色を表現します。「版(型)」を作る必要がないため、色数に制限がありませんので、かなり自由に作りたいデザインを作っていただくことができます。
インクジェットプリントの得意なこと:
- 写真やフルカラーのイラストの表現
- グラデーションなどの色鮮やかな表現
- 比較的細かい文字や線の再現
インクジェットプリントの注意点:
- 解像度の低い画像データを使うと、仕上がりも粗くなってしまいます。
- デザインが単純な場合はシルクプリントで作成した方が安価なこともあります。
プリント②(シルクスクリーン)

シルクスクリーンプリントは、「版画やスタンプを重ねる」イメージで、色ごとに「版(型)」を作成し、1色ずつインクを刷り込んでいきます。単純な単色の組み合わせのデザインならインクジェットより安価に作れます。
シルクスクリーンプリントの得意なこと:
- 単色を組み合わせたシンプルなデザイン。
- シンプルなデザインなら安価に多量のタオルを作成可能。
シルクスクリーンプリントの注意点:
- 色数は最大10色まで
- グラデーションや写真のような、色の濃淡・混ざり合いは表現できません。
ジャガード織①(毛違いジャガード)

オリジナルタオルで最も高級感のある製法です。 あらかじめ染められた2色〜3色の糸(先染め糸)を使い、縦糸と横糸を複雑に組み合わせてデザインを織り上げます。プリントとは異なり、タオルの生地そのもので柄を表現するため、生地に厚みがあり、ふっくらとしたボリューム感が特徴です。裏面には色が反転したデザインが出るため、リバーシブルで楽しめるのも魅力の一つです。
毛違いジャガード織の得意なこと:
- 圧倒的な高級感: 厚みとボリュームがあり、記念品やブランドグッズとして最適です。
- 色落ちしにくい: 先に糸を染めているため、洗濯しても色が落ちにくく耐久性が抜群です。
- リバーシブル: 裏側も綺麗な模様になるため、裏面が見えても高級感を損ないません。
毛違いジャガード織の注意点:
- 細かい表現は苦手: 糸で織るため、画数の多い漢字や細すぎる線(3mm未満など)は潰れてしまうことがあります。
- 色数の制限: 基本的に2色(多くても3色)での表現となります。フルカラーや写真は表現できません。
- コストとロット: 工程が複雑なため、価格は高めで、一般的にはある程度まとまった枚数(数100枚〜)からの製作となります。
ジャガード織②(上げ落ちジャガード)

白+1色の糸を使い、パイル(タオルのループ)がある部分と、パイルがない部分(落ち)の「凹凸」だけでデザインを表現する製法です。 ホテルのタオルなどでよく見られる、シンプルで上品なスタイルです。色を使わずに凹凸だけで柄を見せるため、さりげない主張や、落ち着いたデザインを好む企業様のノベルティや、お土産、ショップグッズとしても人気があります。
上げ落ちジャガード織の得意なこと:
- 立体的で上品なデザイン: 派手すぎず、立体感のある模様が特徴的なタオルが作れます。折り方に高低差をつけることで、色の濃淡を表現できます。
- コストパフォーマンス: 毛違いジャガードに比べて安価に製作できるため、コストを抑えつつ高級感を出したい場合に最適です。
- 肌触りの変化: パイルのやわらかい凹凸があるため、独特の肌触りを楽しめます。
上げ落ちジャガード織の注意点:
- 色は単色: 基本的に白+1色での表現となります。
- 細かい柄は潰れやすい: 凹凸で表現するため、あまりに複雑なロゴや細かい文字は判読できなくなります。
ジャガード織③(フラット織)

「ジャガード織りは高級感があるけど、細かいデザインが潰れてしまう」そんなお悩みを解決するために、新居田物産が独自開発した画期的な製法です。 表面のパイル(ループ)をなくして平ら(フラット)に織り上げることで、従来のジャガード織りでは不可能だった「細かい柄」や「文字」をくっきりと表現することを可能にしました。
フラット織の得意なこと:
- 細かいデザインの再現性: パイルがないため、他のジャガード織と比較してロゴや文字がシャープに表現できます。
- 多色使いが可能: 部位ごとに糸の色を変えることで最大7色まで使用でき、ジャガードでもカラフルな表現が可能です。
- 小ロット対応: 新居田物産独自の技術により、織りタオルでありながら50枚〜という小ロット製作が可能です。
- 耐久性が高い: ループがないため「糸のひっかけ」が起きにくく、丈夫で長持ちします。
フラット織の注意点:
- ボリューム感は控えめ: パイルがない分、毛違いジャガードのような「ふかふか感」はありません(しっかりした生地感になります)。
- 吸水性の感触: 通常のタオルとは異なり平らな生地なので、拭き心地の好みは分かれる場合があります(吸水性自体は綿100%なので問題ありません)。
- グラデーション不可: 織り物ですので、プリントのようなグラデーション表現はできません。
刺繍・プリントネーム(既製タオルへの後加工)

刺繍とプリントネームは、「ゼロからタオルを作るのではなく、既製品のタオルにワンポイント加工を入れる」という方法なので、すでにある会社ロゴやキャラクターなどのデザインをそのまま流用しやすいです。
刺繍の特徴、得意なこと:
- 糸で立体的に表現ができるので高級感がでる。
- 刺繍デザインが同じであれば、タオルボディの色は入れ替え可能。
刺繍の注意点、苦手なこと:
- 糸で表現をするため細かすぎる柄は潰れが発生する。
- 刺繍部分は吸水性がないため、大きなデザインはタオルに不向き。
- 刺繍の色は当社定番カラーの中から選択。
プリントネームの特徴、得意なこと:
- ネームにフルカラー印刷し、タオルに縫い付けるので、デザイン上の制限が少ない。
- プリントネームが同じであれば、タオルボディの色は入れ替え可能。
プリントネームの注意点、苦手なこと:
- プリントネーム自体があまり大きいものではないため、細かすぎる柄は潰れが発生する。
仕様に関するギモンを解決!(つまずきポイントFAQ)
サイズとデザインついてお客様からよくいただく質問にお答えします!
一番人気のサイズは?
用途によりますが、定番の「フェイスタオル」と、配りやすくコストも抑えられる「ミニタオル(ハンドタオル)」が特に人気です。
今治タオルブランドのマークを付けたいのですが?
オリジナルデザインで生地から織る・プリントする場合、今治タオルブランドの認定審査(有料・期間が必要)に合格する必要があります。 もっと手軽にマークを付けたい場合は、すでに認定を受けている「既製の今治タオル」を選び、そこに「刺繍」や「プリントネーム」で名入れをする方法がおすすめです。これなら短納期で確実な品質のタオルが作れます。
詳しくはこちらのページをご覧ください
デザインの相談をしたいのですが?
もちろんです!入れたいロゴやイラストのラフ案を見せていただければ、「このデザインならプリントが綺麗です」「このロゴならジャガードで高級感が出せます」といったプロ視点のご提案をさせていただきます。
まとめ:サイズと製法にあわせて適切なデザインを
今回は、タオルのデザインを考えるにあたって、サイズと各製法のデザインのポイントについて解説しました。
- サイズを選ぶ: 用途に合わせて、ミニタオルからバスタオルまで最適な大きさを選ぶ。
- 製法に合わせる: プリント、ジャガード織、刺繍・プリントネームの特徴を理解してデザインをする。
「作りたいタオルのイメージ」は具体的になりましたか?
次回は第4回「価格」と「納期」についてです。 イメージ通りのタオルが実際にいくらするのか、どのくらいの期間で完成するのかを解説します。お楽しみに!
オリジナルタオルの作り方(連載)
- 第0回:タオルづくりの全体像
- 第1回:タオルの目的と用途〜利用シーンから最適な一枚を見つける
- 第2回:ジャガード織り vs プリント、あなたに合うのはどっち?
- 第3回:「サイズ選び」と各製法ごとの「デザイン作成のポイント」(◀ 表示中の記事)
- 第4回:「いくらかかる?いつ届く?」価格・納期の仕組みを解説
- 第5回:データ入稿の注意点と発注の流れ

この記事を書いた人
新居田物産株式会社 専務取締役
今治のタオル製造会社、新居田物産の新居田です。弊社のコーポレートブログではタオルづくりのお役立ち情報(タオルソムリエ監修)を発信しています。新居田物産に頼んで良かったと言っていただけるように、真摯にタオルづくりに取り組んでいます。







